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Merck

バイオ医薬品の特性評価

青空を背景にしたタンポポと、風に吹かれて漂う種子。

バイオ医薬品は、バイオテクノロジーにより製造された医薬品です。例えば、モノクローナル抗体(mAb)、治療用タンパク質、融合タンパク質、抗体薬物複合体、その他の生物製剤があります。特性評価試験により、バイオ医薬品の物理的・化学的性質を理解することができます。この物理的性質や化学的性質が、製品の性能、加工適性、安定性、外観に影響を与えます。 


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    アミノ酸・ペプチド・タンパク質標準物質

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    バイオ医薬品とバイオシミラーの特性評価と解析

    バイオ医薬品では、GMPと規制コンプライアンスを特に重視した分析と特性評価のための高度な分析ワークフローが必要です。先行バイオ医薬品およびバイオシミラーのいずれの開発においても、製品特性評価試験を行い、頑健で十分に規格化されたバイオ医薬品の確保が求められています。

    同一性

    インタクトマス測定

    インタクトマス質量分析は、SEC-MSと適切なスタンダードを用いて行われることが多く、クローン選択から最終製品の検証までのバイオ医薬品の特性評価で必要なステップです。インタクトマス分析は、タンパク質やペプチドなど目的物質の不均一性の証明やバイオ医薬品の同一性の確認に広く用いられています。最適化により、バイスペシフィック抗体を含めあらゆるタンパク製剤のインタクトタンパク質の質量測定も可能です。

    高分子バイオ医薬品にインタクトマスを利用することが困難な場合、タンパク質消化・分析アプローチが用いられます。このアプローチでは、サンプルをまず少数の断片に切断した後、断片ごとに専用の質量分析プロテオミクススタンダードで測定します。

    抗体価測定

    細胞株のmAbの産生能力は、商用生産での使用の可否につながります。ベースライン測定値として用いる抗体価は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー(HPLC)で測定します。mAbの開発初期の段階で、多数のハーベスト細胞培養(HCC)サンプルのIgG抗体価がスクリーニングされます。プロテインAをリガンドとして用いるアフィニティークロマトグラフィーは、mAbの濃度測定、ダウンストリームの凝集体精製、電荷バリアント分析によく用いられます。

    アミノ酸分析

    アミノ酸分析は、製品同一性を確立するためによく用いられる方法で、mAbのアミノ酸組成の測定で使用されます。アミノ酸分析は、ロット間の抗体価の測定によく用いられる吸光係数の測定と並んでしばしば行なわれます。

    計量学的に有効な手順によって正確に値付けされた認証標準物質  は、非常に重要です。タンパク質の抽出、分画、濃縮、分解、分析を含むアミノ酸解析のワークフローのあらゆる段階において、実験上のばらつきを最小限に抑え、管理する必要があるためです。

    ペプチドマッピング

    mAbの同一性を証明する場合には、単純な1種類の酵素ペプチドマップを比較するだけで十分です。詳細な治療用抗体の特性解析により、製品エンジニアリングにより多くの情報を与えることができます。例えば、N末端・C末端のシーケンス解析、糖鎖の特性評価に加え、その他の側面、例えば抗体の産生や、分析、精製、断片化などの特性を評価します。プロテオミクス質量分析で構造に関する追加情報を得ることができます。

    翻訳後修飾

    N結合型糖鎖解析

    糖鎖結合の変化は、モノクローナル抗体の純度に影響し、機能の変化が生じる可能性があります。モノクローナル抗体は、その定常領域にN結合型糖鎖が結合しており、LC-MSを用いて糖鎖結合パターンを評価することができます。モノクローナル抗体におけるN結合型糖鎖の特性評価は、研究対象の分子の詳細な全体構造を得るために必要です。N結合型糖鎖は、糖タンパク質の高次構造、可溶性、抗原性、糖鎖結合タンパク質による認識など多くの特性に影響することから、N結合型糖鎖解析は重要です。

    モノクローナル抗体(mAbs)高次構造(HOS)の比較

    多くの因子がHOSに影響します – mAbの3D構造 - mAb製造用の細胞株の選択から温度、pH、光曝露などのバイオプロセス条件まで。水素重水素交換質量分析(HDX-MS)は、mAbの三次構造を詳細に理解するために採用される方法です。

    mAb修飾分析

    mAbの製造工程では、多くの翻訳後修飾が生じる可能性があり、翻訳後修飾は、培地や温度などのプロセスパラメーターに大きく影響を受けます。一貫性のある製品を製造するためには、一連のmAb合成で毎回のこのような修飾が安定して再現されることが極めて重要です。翻訳後修飾の解析では、ジスルフィド結合マッピングや、糖鎖の基本構造の評価を行います。また、シアル酸はmAbに悪影響を及ぼすため、シアル化の定量解析も有用です。

    mAb電荷分布:

    翻訳後修飾や化学的修飾の結果、電荷バリアントは、mAbの生物活性や薬物動態に多大な影響を及ぼします。mAbの規制要件である電荷バリアント分析は、カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)やキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)などの方法で評価されます。

    mAb 物理試験とサイズ分布

    mAbの物性分析:

    物性評価により、例えばpH値、浸透圧、濃度などのmAbの状態を明らかにします。また、カールフィッシャー法による水分量測定や、染料浸透試験による容器完全性の評価も、物性評価の一部として実施します。

    HmAbの粒子径分布

    均一のmAb産物が求めらますが、初期段階の製造工程液には、多くの場合、凝集体、断片、追加の軽鎖を持つ生体分子などのサイズバリアントが含まれています。これらのサイズバリアントは免疫原性や抗体価に影響を及ぼす可能性があるため、その存在をモニタリングすることが重要です。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、サイズ分布の評価で最もよく使用されている方法です。 

    無菌試験および不純物試験

    宿主細胞由来タンパク質不純物

    宿主細胞(HCP)タンパク質由来の不純物は、バイオ医薬品中にppmレベルで存在しており、患者において予測できない免疫反応を引き起こすため、深刻な免疫原性リスクとなりえます。その複雑さと多様性から、検出やモニタリングは困難です。ほとんどのHCP不純物は一般的なダウンストリーム精製プロセスで効果的に除去されますが、ごく一部のHCPの除去は非常に困難です。除去が困難なCHO HCPであるリポタンパク質リパーゼのノックアウトは、モノクローナル抗体製剤に含まれるポリソルベートの安定性を高めるために開発されました。

    製造用添加剤のモニタリング

    mAbの開発・製造では、多種多様な製造用添加剤を必ずモニタリングしなければなりません。このような製造用添加剤としては、界面活性剤、プロテインA、トランスフェクション試薬、抗生物質、消泡剤、および増殖因子などがあります。

    mAb微生物試験

    GMPに準拠した医薬品の開発と製造には、さまざまな微生物試験のアプローチが必要です。多くのmAbは、高い増殖能と収率を実現する細胞で産生されるため、微生物汚染の存在をモニタリングし、制御することが極めて重要になります。グラム陰性細菌の細胞壁の成分であるエンドトキシンが、発熱や悪寒から致命的な敗血症性ショックまでさまざまな反応を引き起こすため、パイロジェンの検出(MAT in vitro 試験)とその後の mAb からの除去は重要であり、規制上の要件となっています。バイオバーデン試験は、潜在的に有害な微生物汚染の存在をモニタリングするため、mAbの製造工程全体を通して実施する必要があります。また、無菌試験も、mAb製造の完全性を確保するために極めて重要です。

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